diff --git a/src/index.html b/src/index.html index a8dd45d..99740e6 100644 --- a/src/index.html +++ b/src/index.html @@ -65,7 +65,7 @@
w3m みたいなテキストブラウザーを何年も使用してゐると、通常の GUI のウェブブラウザーには戾れなくなる。すぐに思ひ附く利點は「輕さ」だが、たとへ高性能な PC を使用できて性能が問題にならなくても、筆者は w3m を手離せないと思ふ。
+ +テキストブラウザーの一番の利點は文章に集中できることである。サイトを外観で判斷するのではなく、何が書かれてゐるか・それを讀んでどう思ふかで判斷できる。
+ +筆者は、外観が「モダンな」サイトは「俗な」内容であると思ひ、昔ながらの外観に對しては内容が良いと思つてしまふ。それが偏見であるとわかつた上でのことだ。テキストだけを写す w3m はその偏見を取り除いてくれる。「モダンな」サイトでも良いことが書かれてゐることがあり、それを素直に讀めるわけだ。
+ +文章を讀みたいだけなら普通のブラウザーで CSS を無效にするだけでも良いかといふと、それでは物足りない。ブラウザーで CSS を無效にした時の表示はあまりに「大味」すぎる。書體によつて行間が大きかつたり小さかつたりするし、見出しの前後の餘白は多きすぎる。「User Style Scheet」で好みの CSS にすることもできるが、幅廣いサイトをうまく整形しようとするとキリが無い。
+ +テキストブラウザーなら特別な設定無しでも、手つ取り早くそこそこの外観で文章だけを表示してくれる。
+ +世間のサイトの多くは、Microsoft Edge みたいな OS の標準ブラウザーを初期設定のままで使用することを前提に設計されてゐる。つまり、CSS と JS とが有效で、擴張機能が入つてゐない狀態でのみ動作が保證される。かうしたサイトの HTML はまづい設計になつてゐることが多い。次の樣なものだ。
+ +いづれも、HTML は讀み込まれてゐるのに、CSS とJS とで細かく制御されてゐるため、JS が無效かつ CSS が有效の場合は正常に機能しないものだ。
+ +テキストブラウザーは CSS を無視するから、HTML に含まれる文章はすべて讀むことかできる。單に JS を無效にするだけでは、この樣に設計されたサイトを讀むことができない。
+ +テキストブラウザーは畫像・音聲・動畫を處理できない。かう云ふ物に面した場合は單にそのファイルを處理できる別のプログラムを呼び出すだけだ。普通のブラウザーでも CSV だとか zip 書庫だとかは別のプログラムで開くことになるから、これは自然なことだ。
+ +テキストブラウザーは畫像を保存したり、別のプログラムで開くことが快適にできる樣になつてゐる。w3m だと、畫像の ALT 文字列にカーソルを合せて「I」を押すと外部プログラム (nsxiv とか) が起動して畫像を閲覽できる。これは普通のリンクを辿つて好みの文書を表示することと似てゐて、慣れると快適に感じる。興味の無い畫像や、1度見れば充分な畫像を常に表示しなくて濟むからだ。ついでに「トラッキングピクセル」も囘避できる。
+ +あまりにもテキストブラウザーに馴染みすぎて不安になつてくることもある。必要に迫られて GUI のブラウザーを使用するときに明かに集中力が下がつてしまふのだ。JS 有りだと更に理會が難しくなる。しかも大抵、GUI のブラウザーが必要になるのは JS が必要な時だ。
+ +それでも、筆者は w3m を主なブラウザーとして使用する樣になつてから日頃のウェブ閲覽のストレスを大幅に減らすことができたと感じてゐる。大きな問題が無い限りこれからも w3m を愛用するつもりだ。