HTML5の嘘

HTML5 (今は HTML Living Standard) が登場した時、これで「アプリ」やゲームを開発できる、と宣伝されました。筆者も嘗ては HTML5 に夢を見ました。

今は HTML5 をそこまで良いと感じません。

元々、この記事は上記リストに反論する形式でしたが、書き方を改めました。

1.「HTML5アプリ」は複雑

確かに「HTML5 アプリ」は簡単に作れますが、開発者の多くは HTML5 に「フレームワーク」や NodeJS (npm) を採用して、構造を複雑にします。また、HTML5 を普通のソフトに見せかけるために「Electron」でラップすると、実行可能ファイルは巨大になり、消費メモリーも増加します。

2.「HTML5アプリ」はGoogle・Appleに依存

HTML5 は、自分のウェブサーバーから「アプリ」を配信できる、と注目されましたが、多くの場合は、ネイティブの WebView に埋め込まれ、Google や Apple の「ストア」で配布されます。WebView を使用しなくても、モバイルのブラウザーの殆どは Chrome・Safari の派生だから、結局は Google や Apple から逃げられません。

3. HTML5ゲームは難しい

HTML5 のゲームはプログラミングの学習に丁度良く、家族や友人に成果物を見せて楽しむ事ができます。ところが本格的なゲーム開発には向かず、ネイティブのゲームには見劣りします。筆者の経験上、多くの人はブラウザゲームより、ハイエンドゲームや市販ゲームを好みます。

開発上の課題もあります。いくら効率の良いコードを書いても、ブラウザー側の制約により、ゲームのアニメーションは不安定になります。更に、JS でキーボードやマウスの情報を取得する API は複雑で、PC・モバイルの両方に対応するには沢山のコードが必要です。

4. 最新のウェブ技術はトラッキングに便利

HTML5 の canvas はフィンガープリントに使用できます。それどころか JS にはプライバシー侵害のための機能があります (HTML5 と少し別の話ですが、参考として)。

5. HTML5はHTML4と同じ

HTML5 以降「アプリ」のための機能が増えましたが、ハイパーテキストを記述する機能は殆ど進歩しません。header などの新要素は DIV の親戚に過ぎず、しかも互換性の問題を増やしました。むしろ、同時期にできた CSS3 の方が便利かもしれません。CSS3 は、ウェブサイトの表現の幅を大きく広げました。

このサイトは HTML i18n で書きました。1997年の規格ですが機能は充分です。HTML5 や HTML Living Standard で HTML の規格を何度も更新するのは蛇足といつても過言でありません。

参考